WITCHEN（オリジナル版）
COHJI SZUKI　スズキコージ　　WITCHENのオリジナル版です。

「僕は十八才の頃から、魔法というものに研究専念していて、油絵で魔法使いの絵を描いたり、屋根瓦用の粘 土で大きな魔法使い像を作ったり（これは父に飛び蹴りで、まっぷたつに壊されてしまった）、日夜、魔法な るものの世界を想像せんと努力しておったのである。こんなことから、魔法の画集というか、絵本をつくりた いと思ったので、早速、他費出版限定千部で大日本印刷の遠い知り合いの方を値切りくどいて堂々、レコード ジャケットと全く同じ大きさの本が大完成したのである。手にとってみると厚紙の本なので、メリッと実に奇 妙な音をたてて、頁がめくれ、興奮度があったにもかかわらず、二百部位製本が悪くて、頁と頁がはりついて 破れてしまったりして情けなかった。その頃、小野夕君は森開社という幻想と怪奇出版をはじめていて、画集 「WITCHEN」も通信販売のやり方で、青森のお医者さん、一冊、大阪の主婦の方に二冊と、ポツリポツリと売 っておったのだが…。僕のボロアパートの押し入れに百冊位、くそ重い、その「WITCHEN」がうず高く積んで あって、友人たちにタダで配っても、まだまだ重量感がものすごく、積み上げられた本を横目でチラッと見て、 これから、この本たちをどうしよう？などと考え込んでしまったりしていたのである。それから、僕の相次ぐ 引っ越しで、今や手元に、あれえ、一冊もないという状態になってしまい、今年、一九九一年になって架空社 よりオリジナル本にできるだけ近く、判型は一回り小さくなったが、出版されることになった。」 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （1991年架空社判「WITCHEN」の別冊付録より抜粋）

発行所・発行日記載なし／LPレコードと同じ位のサイズ・302mm×304mm／ページ記載なし（約20P）
背の布地が虫食い・スレ（下の写真参照） ヤケ・シミ・ヨゴレ